チョビンとカブトムシの幼虫
激動のゴールデンウイークを振り返った際「長旅の疲れが出たのか家族全員が風邪を引いた」と書いたが、家族の中でトップを切って体調を崩していたチョビンの熱が夜になってとうとう39度近くに達したので取り急ぎ『夜間・休日応急診療センター』へ連れていった。
僕が幼少の頃は家族ぐるみで懇意にしていた開業医の町医者にいつでもなんでも診てもらっていたのだが、その医師も十数年前に引退してしまい、もう長い間ホームドクターと呼べる医師を見つけられずにいる。試行錯誤(?)の末、チョビンを診てもらえる小児科に関しては良い医師に巡り会うことに成功したのだが、僕やよよこを診てもらえるホームドクター探しの旅はこれからも続きそうだ。
幸い見つけることが出来たその腕のいい小児科についても、近頃はかつて田舎であればこそ良く見かけた診療所兼自宅のような町医者は殆ど姿を見なくなっており、夜間や休日に無理をお願いして診てもらう、といったようなことも事実上不可能な状況だ。
そんな心もとない医療環境の日々を送る我が家にとって、チョビンが生まれてから度々お世話になるようになったのが冒頭にも書いた『夜間・休日応急診療センター』である。一般的な医療施設を利用することが出来ない土日祝日や夜間などに診てもらえる、登録した有志の町医者や大手の病院勤務の医師が日替わり持ち回りで当直する施設なのだが、とりわけこうした子供の突発的な病気の時には非常に助かる。あくまで「応急診療」なので、深刻な病状の場合は大学病院や赤十字病院と連携して転送されることになったり、薬は1~2日分しかもらえないので基本的には再度かかりつけの医師に診てもらう事を前提にしていたりするのだが、こうした施設が有るのと無いのとでは心の拠り所があるという意味で随分違ってくる。
この日も開院直後だというのにセンターは既に大盛況。子供も多いが大人の患者さんも多く見かけた。もうかれこれ十数回はお世話になっているせいかチョビンにも当初のような緊張は無い。20分ほど待ってチョビンの番が回ってきた。家族は1人までしか付き添えないという決まりなので僕は待合室で待機する。待つこと10分。
診察室から「もうこれで終わり?よかった~ありがとう!」というチョビンの声が聞こえ、複雑な面持ちのよよこと共にチョビンが出てくる。複雑な表情だったのは初めて聞く病名だからだったようだ。
診断結果はマイコプラズマ肺炎。帰宅後ネットで調べてみたところマイコプラズマという病原体によって発症する肺炎で、38度以上の発熱と夜間の激しい咳を伴ない、嘔吐、下痢などの消化器症状も起こすという。5歳未満だと症状は軽く済むことも多いが、重症化すると入院治療となるらしい。そんな中もっとも恐ろしかった文言は
飛沫感染で大人にも感染する
というところ。翌朝、早速かかりつけの小児科医で再度診察を受け1週間分の薬をもらって入園早々の自宅療養。チョビンにとっては長いゴールデンウイークとなった。その数日後には見事によよこが激しい咳と38度5分の発熱。かつて一度だけ診てもらったことのある内科医を訪れて診察してもらったところ、やはりというか予想どおりのマイコプラズマ肺炎…。しかも、よよこの症状はチョビンのそれより明らかに重症で、パワーアップした病原体が更にマッチョでタフになっているイメージを伺わせる。
そして…「風邪気味」状態で耐え忍んできた僕も、今日の午後からコホコホと乾いた咳を発するようになってきた。僕は基本的に熱を測って発熱を認識してしまうと気が滅入って本格的な病気モードに入ってしまうので、よほどの事でないと熱を計ろうとしない。なので、まだこの咳が風邪によるものなのかマイコプラズマによるものなのか見当もつかないが、もしマイコプラズマのものだとしたらこれでめでたく家族全滅。インフルエンザ、ロタウイルス、アデノウイルスノロウイルスなどなど…、チョビンが生まれてから何度このパターンを歩んだだろう(笑泣)。
生まれつき気管が弱く、かつて3度にも渡り、風邪の咳が長引いて肋間筋断裂の激痛を味わった僕としては、これが風邪薬ドーピングで何とかなるレベルのただの風邪の咳であることを祈りつつ粛々と日々を送る以外になさそうだ。
そんな今日の昼下がり、カブトムシの幼虫(個別飼育グループ)の飼育ビン内の土が半分近くにまで減っていたのでチョビンと一緒に土交換を実施した。
3月末の土交換で最後だと考えていたが、もう2ヶ月以上も続く「三寒四温」ならぬ「七寒八温」に、幼虫たちも混乱しているのか未だ蛹化の気配もなく、ただただ成長し続けているため、エサである腐葉土が予定よりも減り続けているのだ。ことカブトムシの幼虫に関しては恐怖を感じることなく「かわいいね」とやさしく触れるようになったチョビンを見て、幼児時代に昆虫動物博士と呼ばれ、幼稚園では不動のボスに君臨していた僕の片鱗を垣間見た。…ような気がした(笑)。
「幼虫」といえば、この世に生を受けたチョビンを初めて見た僕が彼を形容したのも「幼虫」だった(笑)。プリプリしていて肉肉しくて柔らかくて儚げなところを指してそう表現したチョビンも、この場合、成虫=人間における成人ではないのだが「人間的に」という意味合いで幼虫→サナギ→成虫へと成長を遂げた感がある。
いまだに「この僕が子育てしているなんてなぁ」と不思議な気持ちになるほど親としての自覚ゼロな僕だが何を賭してでも、ただただチョビンの健やかな成長を祈るばかりだ。



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