I LOVE WAKAYAMA 20XX 放送開始
「5、4、3、・・・・」
レフランプが照らし出す其れのように、僕のオーディオルームのシーリングスポットライト4灯のうち2灯が真下を照らし、33年の時を経て浮かび上がる夢にまで見た2人の姿。
瞬時にプロの表情に変わるあの時の顔。あの時の緊張。
その眩いばかりの明るみの空間の外の陰の中で、僕は静かに、そして素早く左手を下に振り降ろした。
演者さんにキューを出す。
僕が大学で映画制作サークルに在籍し、8mmフィルム映画を撮っていたとき以来のことだ。
ここ、魅惑のシュミROOMでもこれまでに幾度か触れてきたが、1983年から1984年にかけて和歌山放送ラジオで放送されていた「I LOVE WAKAYAMA」という番組は、僕の高校時代を大きく変えた。
博学で面白く青少年の大好物な下ネタにも明るくて頼りがいのある我らが兄貴的存在の小林睦郎さん、その愛らしい容姿に似合わないボケっぷりと大胆さを併せ持ち、親近感たっぷりの阪南弁で番組に潤いと清涼感をもたらす石澤眞美ちゃん、リスナーからのネタを完膚無きまでにカットするかと思えば有り得ないほど斬新なコーナーとして取り入れてしまうクリエイティブ野心の塊、ディレクターのヘンリーさん。
地元和歌山が産んだその画期的な布陣で繰り広げられる徹底的に地域に根づいた番組のウワサは瞬く間に中学生、高校生、大学生の間に広まり、当時のAMラジオといえば22時~1時はMBSヤングタウン、1時~5時はオールナイトニッポンというのが王道だったのだが、和歌山県下に住む青少年たちは、そこに「20~22時はアイラブワカヤマ」という、夜にテレビを必要としなくなる不動のコマを手に入れることになったのだ。
月曜~土曜まで、学校で起きたことは全てその場ですぐにネタとして葉書にしたため毎日学校帰りに郵便局に寄っては最低でも10通は投函していた。
ホームルームの時間の活用術やクラスの円滑なまとめかたを学ぶべく地域の各高校からクラス委員だけが集まって宿泊する合宿「リーダー研修会」においても、僕は番組開始時間に合わせて公衆電話からスタジオに電話を入れてその実況リポートをやらかした。
商業美術展に作品を出品した美術部の一員として、挨拶のため突然部員を引き連れて和歌山放送を訪れた際も、小林さんも眞美ちゃんも嫌な顔ひとつせず、笑顔で迎えて入れてくれて、ヘンリーさんに至っては、「会場近いですしこのまま皆んなで美術展ロケしましょか」などと言い出して、その小一時間後には、市民会館で自ら描いた絵を前に小林さんと眞美ちゃんからインタビューを受けていたりもした。
この番組のすべてが好きだった。
僕はこの地元AMラジオ番組を心から愛しすべてを捧げていたのだ。
しかしそんな熱情の日々も番組終了とともに終焉を迎え、燃えカスのようになったまま大学進学で上京してからは、今のようなradikoは愚かインターネットも無い時代、小林さん眞美ちゃんは勿論のこと交流のあった当時のリスナーたちとも会うことが無くなり、AMラジオを聴くこともしなくなっていった。
それから31年が経った昨年の6月・・・
番組関係者の方々や当時のリスナーたちと再会を果たしていく中、奇跡と偶然が重なって最後のピースだった石澤眞美ちゃんとの再会をとうとう果たすことができた僕はその時の感動を「過去に失ってきた大切な人たちとの繋がりを、そのつづきを…残りの人生の中でまたこうやって紡いでいける」「ふたたび共に歩んでいける僕は本当に幸せ者」と表現しこのブログに書き綴っている。
これで無謀(無望)は希望へと変わった。
2012年にfacebook上で発足した番組同窓会での主たる話題はなんといっても「番組再開」だった。例えそれがイベント的な「一夜限り」のものでもいい。今一度、僕たちの青春だったあの感動をもう一度みんなで共有し味わいたいというものだった。
もちろん番組関係者の方々もいまはそれぞれの生活と仕事がある。彼らに丸投げが許される歳でもない。同窓会が自ら推進力を持って「動」くことが必要とされる。
しかし人生も半ばを過ぎると皆、仕事も家庭でも重要な位置や時期にあったり長年の無理が祟って大病を患ったりして昔のような行動力を発揮できないこともまま在る。
それは僕も例外ではなかった。
強い想いはあれど身動きがとれない。ジレンマに焦りに似たものを感じながらただただ無駄に過ぎていく時間…
そんな中、かつては共に「超常連リスナー」の座を競い合った、1人の女性元リスナー(当時中学1年生)とは、facebookを通じてメッセージを交わし話すことが多くなっていた。彼女もまた大病を患い治療しながらの日常生活を営んでいた。
残念ながら彼女は一昨年帰らぬ人となってしまったが、生前、彼女と幾つか交わした約束の1つもやはりI LOVE WAKAYAMAの再開だった。
人は生かされて生きている
人生、如何に生くべきか、如何に逝くべきか
病、旧友の死、再会、ここ数年で身の回りに起こった様々な事柄から、そんなことを考えさせられるようになった僕は、未だその答えを見つけられてはいないが、ただ自分に正直に、悔いの無い残りの人生を歩むのに必要な積極性だけは身につけようと心掛けるようになっていた。
ずっと温めてきた構想を形にしよう。
小林睦郎さんと石澤眞美ちゃんとは、facebookの活用やデバイスの取扱いに関する相談役という形でお付き合いが続く中、永い間止まっていた「時」がゆっくりと動き始める。
まずは、和歌山放送との接点がフリーアナウンサーの小林さんのみとなってしまった今、和歌山放送を巻き込んでのアイラブワカヤマ再開は極めて困難であることから、インターネットを利用した動画配信という形での放送に切り替えて考えることにした。
その画策は、地理的にも御家庭の都合やお仕事的にも最も調整が困難と思われた眞美ちゃんに最初に伝えたところ、とても喜んでくれて驚くほどノリ気になってくれた。まるで30年前の眞美ちゃんがそこにいるように破顔の笑顔だったのが嬉しかった。
つぎに小林さんに伝えた。小林さんは現役のフリーアナウンサーである。プロとしてお仕事をされている方にボランティアでお喋りしてもらうわけで、いくら同窓会たってのお願いとは言え、どう考えても無謀だと思ったが、小林さんも二つ返事で快く引き受けてくれた。動きは加速し始める。
最後にお願いしたヘンリーさんからは、憂うる現代の社会情勢に向けて情報を発信し続けるという残りの人生をかけた大志大願を成就するべく貫いている最中で過去の想い出に浸る時間を捻出するのが難しいとの返事を頂戴した。
残念だったが、目標は違えど僕も同じ「残りの人生をかけて大志大願を成就するべく貫いている最中」だったのでお気持ちはとてもよく理解できた。と同時に、昔も今も常に世の混沌に不満を抱き、世情を憂い行動し続けるエネルギーに尊崇の念を感じ、そうした立場でおられるヘンリーさんのことを純粋に羨ましく思った。
番組制作には携わっていただけないが、もちろん同窓会の一員として今後もアドバイスを仰ぐことは出来る。動き出した「時」は止まらない。
ラジオ番組のディレクター業を務めるのはもちろん初めてのことなので、すべての準備が手探りの状態で進められたが、学生時代の映画制作経験のおかげで音声の収録と編集に必要な機材や取り扱いについてはある程度の知識はある。
とはいえ無い袖は振れないので、理想的なその全てを用意することは叶わない。押し入れや倉庫に眠っていたウン十年モノの既存の機材を掘り起こして寄せ集める。ミキサーが無いのが一番痛い。頼みのアンプはマイク入力が3つともすべて死んでいて接点復活剤もまったく効果は無かった。
結局、配線と端子とソフトウェアで誤魔化し誤魔化し接続して、なんとか形にした。
そして2016年6月30日…
お二人を我が家のスタジオに招いての初収録だ。
台本は企画書をコピーしただけのA4用紙3枚の簡単なもので、1つ1つ確認をしながら世間話も含めた軽い打ち合せをしたあと収録を開始。すると、小林さんのプロフェッショナルな喋りはもちろんのこと、眞美ちゃんからもIT講習の時と同じ人物とは思えない32年前と同じ滑らかなトークが流れだす。
夢にまで見たあのお二人のお喋りがいま目の前で・・・
眞美ちゃんボケる、睦っちゃんツッコむ、眞美ちゃん大笑いする。あの頃と変わらない睦っちゃんと眞美ちゃんの軽妙な掛け合いが始まった瞬間、僕は胸が熱くなって思わず視界が滲んだ。
昼食を挟んで約4時間で収録は終わった。
収録後、手ごたえを掴んだ様子のお二人から
睦っちゃん「あかんとこ有ったら何でも遠慮せんとああせえこうせえ言うてな!」
眞美ちゃん「あのさ。次回からは1回の収録での本数を増やして配信インターバルを短くしていけたらいいね!」
の言葉をいただけたのがまた嬉しい。
正直なところ、ハード的に致命的な不足があるのと、技術的にもまだまだ詰めの甘いところが目立って、僕自身は産み出せた喜びよりも悔しさの方が勝っている状態だ。
しかし、そんな悔しさなど吹き飛んでしまうほどソフト的にとんでもなく恵まれている。高校生のころから憧れていたお二人と、いまは大切な友人として協力して番組を制作できる喜び。なんと幸せなことか。
お二人には感謝の言葉しかない。
今後は、あの頃のアイラブワカヤマを懐かしみ踏襲するばかりではなく、今の睦っちゃん眞美ちゃんだからこそ話せるような大人な話題、一歩二歩踏み込んだテーマについても取り扱える「大人の」アイラブワカヤマとして成長させていきたい。
最後に「I LOVE WAKAYAMA 20XX」初回放送の紹介文とリンクを下に貼っておくので、いつも当ブログをご覧頂いている皆さんにも是非お聴きいただきたい。
1983年10月10日から約1年間にわたってWBS和歌山放送ラジオで放送された伝説の番組「I LOVE WAKAYAMA」の同窓会が、当時のパーソナリティのお2人(本モノ!!)を擁して、フィールドをネットに移し悲願の放送再開を果たします!
1983年チックな空気感はそのままに、さらに広く見識を深めて近ごろ悟り始めた睦ちゃんと、恐ろしいほど変わらない愛らしさに熟女属性も身につけたマミちゃんのお喋りをお楽しみください。
I LOVE WAKAYAMA 20xx【初回放送】
https://youtu.be/zfrbZHux0Oo
●皆さんからいただいたコメントは番組内でもご紹介してまいります。はじめてご視聴くださった皆さんはもちろんのこと、かつてのリスナーの方々も、ネタをしたためた官製はがきをドキドキしながら投函した頃を思い出して、どしどしコメントをお寄せ下さい。
●思いのほか音が小さくなってしまったのでイヤホン/ヘッドホン推奨です。ごめんなさい。手探りしながら改善していきます。生暖かい目でお見守りください(D)
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